2022.8月号vol.89

熱中症対策がむし歯の原因になる!?

本格的な夏を迎え、皆さんはどのような熱中症対策をとっているでしょうか?

夏バテ予防に効果がある食事や冷却グッズを使用したり、塩分補給に塩飴を持ち歩くという方もいると思います。

中には、水分補給にスポーツドリンクを飲むことを推奨する記事などを見ることもあります。

スポーツなど運動をして失われる水分やミネラル、エネルギーを補給するためにスポーツドリンクは効果的な飲み物です。

しかし、歯を守るという視点から見ると、スポーツドリンクにはエネルギー補給のために糖分が多く含まれているため、むし歯リスクを上げてしまう注意が必要な飲み物になります。

また、糖分のほかに、歯を溶かしてしまう酸も含まれています。

スポーツドリンクには、歯を溶かして弱くする酸と、むし歯菌の大好物になる糖分が多く含まれています。

塩飴にも、糖分やクエン酸が多く含まれているので、スポーツドリンクと同じように、長時間続けて摂取しないように気をつけましょう。

命を守るためにも大切な熱中症対策ですが、スポーツドリンクや塩飴は継続して摂取しないように気をつけてください。

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2022.8月号vol.89

シリーズ③歯周病と全身疾患 ~心筋梗塞~

シリーズ歯周病と全身疾患の今回は『歯周病と心筋梗塞』の関係についてのお話です。

心筋梗塞は、動脈硬化により心臓の血管が狭くなったり、その部分に血栓(血の固まり)が詰まることで、血液が流れなくなる病気です。

動脈硬化の原因は、これまで不適切な食生活や、運動不足、ストレスなどの生活習慣が主な要因とされてきましたが、近年は、歯周病菌などの細菌感染がクローズアップされています。

脳血管疾患(脳梗塞)の場合と同様に、『歯周病菌』が、お口の中の血管から体内に入り込むことが原因となり、歯周病菌が誘発する物質と脂質が結合し血管内にプラークを形成します。

そのプラークが血管壁を狭め、血液の流れを悪くする血栓となります。

自分自身のムシ歯リスクを確認することも大切ですが、全身疾患に繋がる歯周病リスクも認識することが重要です。

定期的な歯科検診でお口を衛生的な環境にすることが歯周病予防、心筋梗塞の予防につながります。

参考:日本臨床歯周病学会

2022.8月号vol.89

七夕は7月?8月?

8月7日は、七夕ですね。

保育園や学校、おうちなどで、願い事を書いた短冊を飾るお子様も多いのではないでしょうか?

七夕は、1年に1度だけ織姫と彦星が巡り合う日ですが、7月7日と

8月7日に行う地域があるのはなぜでしょう。

七夕の神話は、奈良時代に中国から日本に渡ってきました。

当時は、月の満ち欠けで暦を策定したもので、一年が約354日の旧暦でした。

そのため、現在の暦の7月7日と旧暦の7月7日ではズレが生まれ、現在の8月20日頃が旧暦の7月7日に当たると言われています。

つまり、8月の七夕は、旧暦を元に行っていることになります。

北海道では、一般的に8月7日に七夕をしている地域が多く、そのほかには、東北三大祭りにあげられる仙台七夕祭りもあります。

また、岩手や秋田など東北エリアや、東京や埼玉の一部など全国には、8月に七夕を行なう地域が多く存在しています。

7月と8月のどちらも正しい一年に一度の七夕です。

皆さんも、願いを込めて短冊を飾り、星にお願いしてみてはいかがでしょうか。

2022.7月号vol.88

子どものためにも大切な家族の健康

お子様のお口の健康を守っていくためには、お父さんお母さんなど一緒に暮らす家族の口腔健康も大切です。

特に、生活の中で子どもと長い時間を過ごすことが多いお母さんの口腔の健康状態は、お子様の口腔健康への影響も大きくなります。

親御さんから「子どもと大人でお箸やコップの共有は避けた方が良いか?」という質問を多くいただきます。

お子様と同居している大人の口腔内に、むし歯菌や歯周病菌などの悪い細菌が多い場合は、子どもにその細菌が感染する可能性も高くなるため、お箸やコップは使い回さない方が良いでしょう。

しかし、日常生活では、どんなに気をつけても限界があり、スキンシップやコミュニケーションの大切さを考えると、あまり神経質になり過ぎるのも問題と思います。

最も大切なのは、家族全員の口腔健康を良い状態にし、口腔内を衛生的な環境に保つことです。

細菌の感染経路になるお箸やコップの使い回しに注意するよりも、細菌の感染源である家族の口腔環境を改善することが大切です。

2022.7月号vol.88

シリーズ②歯周病と全身疾患 ~脳血管疾患~

近年、歯周病と全身に関わる疾患には大きな関係があることが認められてきています。

脳梗塞(のうこうそく)などの脳血管疾患も、歯周病が影響する場合があることをご存知でしょうか?

脳血管疾患による2017年の死亡者数は10万9,880人で、死亡総数の8.2%を占め、死因順位は第3位となっています。

脳血管疾患には様々な要因がありますが、近年では歯周病との関連も報告されています。

『歯周病菌』が、口の中の血管から体内へ入り込むことが要因となる場合もあり、歯周病の人はそうでない人の2.8倍も脳梗塞のリスクが高まると言われています。

特に高血圧、高コレステロール、中性脂肪が高めの方は、脳血管疾患予防のためにも歯周病の予防や治療はより重要となります。

毎日の生活の中での歯ブラシのほかに、フロスを使用し、定期的に歯科医院でお口のメンテナンスをすることが歯周病予防、さらには脳梗塞の予防につながります。           

参考:日本臨床歯周病学会

2022.7月号vol.88

保険適用の白い歯

むし歯の治療のときに、銀歯ではなく、白い被せ物で治療したいと思っていても保険が適用されないために諦めてしまった経験はありませんか?

現在は、必要条件を満たし厚生労働省から認可を受けた歯科医院に限り、白い被せ物の治療を保険適用で受けることが出来ます。

この保険適用の白い被せ物は、CAD/CAM(キャドキャム)冠と言い、ハイブリットレジンという素材になります。

ハイブリットレジンは、『保険適用外のセラミック』に比べると、

耐久性や、美しさなどで劣る部分はありますが、銀歯に比べると、色も白く、金属アレルギーの心配もありません。

装着後に外れてしまう可能性は、銀歯と同程度になりますが、銀歯ほどの強度がないため、噛み合わせには注意が必要になります。

数年前より、段階的に条件付きで保険適用になってきたCAD/CAM冠は、比較的大きなむし歯への治療法になります。

CAD/CAM冠が適用されるには条件もありますので、適用できる場合にはご案内させて頂きます。

銀歯に抵抗のある方、白い歯に興味のある方は、お気軽にご相談ください。

2022.6月号vol.87

健康寿命につながる口腔機能

口腔機能の低下によって、食べ物を噛んだり飲み込むことが正常に行われない状態を『オーラルフレイル』と言います。

むし歯や歯周病などの影響で、食べ物を細かく噛んだり、噛んだものを飲み込むという基本的なお口の機能が低下する場合があります。

このような状態を放置していると食生活の変化にも繋がり、食べ物の好き嫌いではなく、食べやすいもの・食べにくいものという選択で食事をするようになってしまいます。

このような食生活では、栄養バランスの乱れから、身体機能の低下などが引き起こされ、社会活動が出来ない・日常生活に問題が生まれる・寝たきりになってしまうなど、健康寿命に影響が出る可能性があります。

お口の健康を守ることが全身の健康を守ることにも繋がり、健康寿命を延ばすことになります。

いつまでも元気に生活するためにも、お口の問題は早期に解決し、定期検診や毎日の歯磨きでお口の健康を守り続けることが大切です。

2022.6月号vol.87

シリーズ①歯周病と全身疾患 ~糖尿病~

お口の健康と全身の健康には深い関係性があります。

歯周病が、全身疾患に影響する場合もあり、糖尿病の合併症の一つに歯周病があることをご存知でしょうか?

成人の糖尿病で多い2型糖尿病は、体内でインスリンの働きが不十分になり、免疫システムの低下が起こります。

免疫力の低下によって、糖尿病患者はインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。

また、お口の中も同様に免疫力が低下することで、糖尿病患者は歯周病に2倍以上かかりやすくなり、歯周病の進行も早くなります。

そのほかにも、重度の歯周病の場合、血糖のコントールが悪くなるなど、歯周病と糖尿病には大きな関係があります。

歯周病の改善により、血糖のコントロールが改善する場合も多いことから、糖尿病を患っている方にとって口腔ケアはさらに重要になります。糖尿病は、40歳代から急速に増えますが、早い時期からの歯周病予防が発症リスク軽減につながります。

2022.6月号vol.87

世界の平均健康寿命ランキング

近年、健康寿命という言葉を耳にすることが多くなりました。

健康寿命とは、2000年にWHOが提唱したもので、健康上の問題によって日常生活が制限されずに暮らせることを言います。

健康寿命が注目され始めた背景には「寿命の質」という考えがあります。

医療の発展と共に、世界的に人間の平均寿命が伸びているなか、

ただ生命を持続させるのではなく、健康で自立した期間を伸ばそうという思いが発展したようです。

平均健康寿命が1位のシンガポールでは、水道水にフッ素が含まれているなど、口腔健康において積極的な取り組みが行なわれています。

生きることに直結する食事や、日常を明るくする人との会話は、お口の健康から始まります。

また、歯周病菌が糖尿病や心筋梗塞、誤嚥性肺炎など大きな疾患に繋がることからも、お口の健康を維持し、健康寿命を意識した生活習慣が大切です。